5月5日のブログに、伏見稲荷の門前からスズメの焼き鳥が姿を消したと書いた。そのすぐ後、日本経済新聞の夕刊に、スズメが捕れなくなったと書いてあった。納得である。東京でスズメやツバメを見かけるだろうか。
要するに、都会でスズメやツバメが暮らす余地はない。都会というカラスにとっての天国は、必ずしも小鳥にとっての天国ではない。焼き鳥にされて伏見で食われた昔が天国とは言えないという反論もあろうが、春になればどこにでもスズメやツバメが飛んでいた。ヒバリ(美空じゃない)もいた。そういえば、東京では夕方、コウモリがやたらと飛んでいる。カラスと同じく現代が天国なのだろう。
京都にはまだ少しだけ、スズメやツバメが暮らしている。住んでいる家の近くにも毎年ツバメが巣を作り、その家の人が巣の下に新聞紙を敷いている。スズメも、舌切雀じゃあるまいに、おばあさんの住んでいる古い家の瓦の隙間に巣を作っている。スズメのヒナは見かけないが、ツバメのヒナは身近である。写真も撮らせてくれる。
そんなことを考えて北白川を歩いていると、スズメを見かけた。よく見ると、米屋の軒先だった。スズメは玄関の引き戸の奥に一歩(一跳び)入って、用心深く周りを見渡し、地面をつつく。カラスほどではないにしろ、知恵者だ。穀物を求め、そのくらいは逞しく生きていい。現代人にとって、昼も夜も、茶碗に盛られた飯を何百粒と残したところで何も注意されない時代なのだから。
2009/05/14