4月の鉱工業指数が公表になった。3月に続いて増加しており、ひとまずは安心といったところである。では、その回復の内容はどうか。簡単にコメントしておく。
回復の要因は新聞などで指摘されているように在庫調整に目処が立ったことにある。出荷の急減に合わせて生産を絞り込むプロセスが効果をもたらし始めている。出荷も、輸出の底打ちからゆっくりと回復を始めている。
在庫調整の進展は生産財(中間製品)に顕著である。3月と4月の2ヵ月、出荷増の足取りが一番確かなのは生産財であり、その結果、生産財の生産増も顕著である。その回復をもたらした最終財(完成製品)が何かと探ってみると、あまり顕著に回復しているものがない。強いて挙げれば耐久消費財であろう。一方、資本財は依然として冴えない。資本財の場合、昨年9月のリーマンショックによって一番大きな打撃を受けたのが企業部門であるから、今回の回復は一番遅れて当然だろう。しかし、どこかの早い段階で回復しなければ、景気の回復が腰折れしかねない。この意味で依然として懸念が残る。
以上から、2ヵ月連続しての鉱工業生産の回復は安心材料ではあるが、まだまだ楽観を許さない。とくに日本の場合、海外経済頼みの景気回復であり、明確な景気回復の先導者が国内に見当たらない。それだけに問題が複雑である。
2009/05/29