川北英隆のブログ

郵政は変化したか

日本郵政を巡る鳩山氏対西川氏の戦いは鳩山氏の辞任でとりあえず決着した。しかし、これですべてが終わったわけではない。
西川氏に社長としての続投を認めるということは、国として民営化路線を継承するということだろう。そうだとすれば、日本郵政が事業モデルとして成果を挙げ、国保有の株式が売却できるかどうか。売却した株式が投資家に十分な収益をもたらすかどうか。これらにすべてがかかっている。
そこで問題になるのは、現在の日本郵政の経営が満足のいく実績を残してきたかどうかである。過去の実績から、ある程度、将来が見通せる。実のところ、いくつかの課題があるので、それを指摘しておきたい。
第一に、簡保の宿の売却である。これだけを責めるのは視野が狭すぎる。とはいえ、やはり売却の意思決定のプロセスが安易すぎた。参考になるのは年金・健康保険福祉施設整理機構の施設売却プロセスである。民間のプロセスを取り入れ、より高い売却価格を目指す姿勢を、日本郵政として見習うべきだろう。
第二に、窓口の統一のなさである。きちんとしたマニュアルのなさが傍目にも明らかである。書留を送る場合、株式配当金を入金する場合等、郵便局によってまちまちの対応には戸惑いを感じてしまう。日本郵政の幹部が現場に出向いていない証拠だろう。
第三に、サービスの悪さである。民営化して以降、通常の郵便の到着が遅くなった。夜遅くに配達され、翌日の朝に受け取る場合さえある。また、宅配便のサービスは、当初からクロネコに圧倒的に劣っている。不在の場合、配達物をメールボックスに入れておいてもらうのに手続きが必要だし、手続きした後もメールボックスに入っていない。まず、システムが遅れているのだろう。また、受取人の意思を尊重していないのだろう。
西川氏をはじめとする幹部は、自分の足で、かつ身分を隠して郵便局に出向き、サービス実態を体験すべきである。ついでに、クロネコのサービスも味わうべきである。日本の銀行のサービスは大したことがないが、それでも郵便局よりはましだから、三井住友銀行の窓口に出向けばどうだろうか。

2009/06/12


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