遅ればせながら、6/24に公表された5月の貿易統計の状況についてコメントしておく。結論は、回復のテンポが今一つというところだ。今シーズンのイチローの胃潰瘍からの回復ぶりとは雲泥の差がある。
この判断は日経新聞の記事とは異なっている。新聞では「じわり回復」と表現し、訳のわからない評価を下しているが、記事を読むとアメリカ向け等、急速に回復しているようなコメントである。根拠は「季節調整」を行った数量指数に基づいている。
数量指数で輸出の状況を判断することはきわめて正しい。しかし、季節調整した指数だけに頼るだけではどうだろうか。季節調整した数値とは、「過去の月々の変動のクセに基づいて統計的に修正を加えた数値」である。だから、昨年のように極端な変化があった後ではクセが崩れ、統計的な調整が正確に行われなくなりやすい。
輸出の回復が今一との判断した最大の理由は、5月の数値を前年同月比で見た場合、輸出数量全体のマイナス幅がほぼ横ばいになったことにある。回復が急であるのなら、前年同月比は横ばいではなく、マイナス幅がもっと縮小していいはずだ。輸出について、3月以降、急速な落ち込みからの回復はあったものの、まだまだ本格的な回復を見せていないと判断するのが客観的だろう。
2009/06/26