川北英隆のブログ

山歩きとナメクジ2

「ナメクジのような山歩きが趣味」に関連する話題の続きである。山歩きはいろいろな楽しみに波及する。その一つが、地図上に歩いたコースを記入することである。
実は国土地理院の五万分の一の地形図に、朱色の色鉛筆で歩いたコースを記入している。帰ってから、記憶をたどり、地形図上に色を塗るのである。その時に注意を払っているのが、小さなピークの上を歩いたのか、右もしくは左側を巻いたのかというような確認である。そのような作業をしていると、「ああっ、ここで少し道を間違ったから、変だったのだ」と分かることもある。こういう意味で、有意義な楽しみである。
このようにコースを塗っていると、「こことあそこを結べば、この尾根を完全に歩いたことになる」という意欲が生まれる。実際に、このようにして「未知の尾根」を歩くことも多かった。そんなこんなで、「ナメクジのように尾根をはいずりまわる山歩き」になっていく。地図にナメクジのような痕跡を残すのである。
実際、関東周辺の主要な尾根は、このようなきっかけもあり、歩きまわった。関西に移り住んでからも、「残っているこの尾根のこの部分を歩きたい」との思いに駆られることもあるが、実現はなかなか難しい。
なお、関東の尾根の解説書として愛読していたのが、小林経雄『甲斐の山山』(新ハイキング社、1992年)である。今でも名著だと思っている。

2009/07/07


トップへ戻る