川北英隆のブログ

日銀短観の評価

7月1日、短観が公表された。本日、2日に調査数値の全容が、業績数値を含めて公表されている。これらを用いて詳細な分析が可能になる。
企業の業況判断指数DIに関しては新聞紙上で評価されているから、今更言うことはない。一言でまとめれば、回復の速度が思ったほど速くないと評価できる。
このブログでは、株価を占う上で重要な企業業績に関して某所に解説の文章を書いたので、それを紹介しておきたい。以下、その日銀短観に関する部分の引用である。
日銀短観(6月調査)によれば、昨年度に続き、今年度も経常利益段階で減益見通しである。もっとも、下期には回復すると見込んでいる。昨年度下期から欠損状態に陥った製造業と製造業のうちの加工業種も、下期には黒字に回復するとしている。今年度下期の製造業の予想利益水準は、リーマンショックの影響を被る直前、昨年度上期の約半分である。
ここで気になるのは売上高の見込みである。製造業の売上高の推移を前年同期比で示しておくと、昨度下期-21.6%、今年度上期-26.3%と減収幅が拡大した後、下期には+1.2%と増収を見込んでいる。しかし、この増収率は極めて小さなものであり、また3月調査と比べて下方修正されていることに注意が必要である。大幅な減収が続いた後であるにもかかわらず、反発力が弱いと評価せざるをえない。
今回、企業業績の回復には生産の回復に伴う売上高の増加が必須である。この売上高の見通しに力強さが見られないことからすると、今後、経常利益が下方修正される可能性を考えておかなければならない。

2009/07/02


トップへ戻る