川北英隆のブログ

株式持ち合いの開示

日経新聞によると、金融庁では、株式持ち合いの状況を開示させる方向での検討が進んでいるという。正しい方向での議論である。
4/24に述べたように、株式持ち合いは銀行経営を不安定にしている。1990年代の終わりから2000年代の初めにかけて然り、昨年から今年にかけて然りである。株価が下落する度に金融システムを揺るがしてきた。そうであるから、銀行が取引先の株式を大々的に保有することは禁止すべきだと考えるが、とりあえず何のために取引先の株式を保有しているのかを開示するだけでも大きな前進である。
また、4/4に時価会計に関連して述べたように、事業会社が取引先の株式を保有するのであれば、そこには明確な経営戦略がなければならない。株価が大きく下落し、事業からの得られる利益を消滅させる程であったとしても、それを覚悟で保有しているのだと堂々と表明できることが求められる。そうでないのなら、株式は保有すべきでない。ましてや、時価会計に泣き言を並べ、非難するのは筋違いである。これは、銀行に株式の保有を認める場合も同じである。
すでに、自主的に株式持ち合いの状況を開示している事業会社もある。正々堂々たる会社であし、日本にも頼もしい企業があったのだと安堵する。さらに言えば、そのような会社を応援するのも、投資家としての責任であろう。

2009/07/05


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