川北英隆のブログ

大雪山の遭難

大雪山系のトムラウシ山で大量の遭難と死亡事故が生じた。登った経験からしても、トムラウシは大きな山であり、易しくはない。さらに、今回はツアー登山の遭難であり、海外でのツアーに参加している私自身、いろいろ考えさせられる。
まず、今回もまた、ツアー登山会社の責任が追求されるのだろう。これに関して、同行していたツアー会社の関係者の経験と判断力がどの程度だったのだろうか。これがツアー会社の責任の分岐点である。ガイドが、山登りの専門家として十分な経験と能力を備えていたのなら、後の多くは現地の状況に基づいた判断に任せるしかない。外部から簡単に批判することはできない。
次に、夏山とはいえ、この時期の北海道の2000メートル級の山をあなどってはいけない。登山する者が、それなりの装備を担いでいたのかどうかである。グループだと、それもツアーだと、どうしても相互に依存が生じてしまい、装備が疎かになる。しかも、最近思うのだが、参加者側には、安易にブランドの山ツアーに申し込む傾向が強い。山の経験が浅く、自分自身で計画したことがない者、とくに50歳台になって老後の楽しみへの足慣らしとして山歩きを始めた者に、この傾向が強いと思う。すぐに、「雨具は必要なの」、「水はどの程度持っていけばいいの」、「上は寒いの」なんて質問する者が多いのである。そのようなアホナ質問をするのなら、参加する資格はない。まずは、自分で判断すべきであり、その後に現地の状況をガイドニ確認すべきである。
ツアーであっても、ツアーの主催者と、ガイドがすべてを判断できるとはかぎらない。さらに言えば、間違った判断をすることもある。間違っていないかどうか、参加者も同時並行的に判断していかなければならない。私の経験でも、現地ガイドの経験が浅く、こちらで山頂へのルートを判断しなければならないことがあった。現地の運転手が、これは登山口へのアプローチであるが、道を大きく間違ったこともあった。ツアー会社を非難できたとしても、命をなくしてからでは遅い。常に参加者自身で、当然だが、自分自身のこととして判断すべきである。
最後に、今回のトムラウシ山での遭難の状況をニュースで聞く限り、出発した避難小屋や宿泊施設に戻るべきだったのだろう。山は逃げない。ツアーのガイドがどう言おうとも、引き返すことを主張してもよかったと思うし、主張できるだけの経験が参加者側にも求められていたのだろうと感じた。この最後の点については、あくまでも限られた情報に基づく推定であるが。

2009/07/17


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