川北英隆のブログ

4-6月期GDPの海外依存

八ヶ岳でトレーニングしたので、またまた遅ればせな経済コメントである。4-6月期のGDP(実質ベース)は1-3月期に比べて0.9%の成長だった。しかし、その内容にサプライズはなく、寂しい。
0.9%の成長を国内需要と海外需要に分けると、国内が-0.7%、海外が+1.6%である。このブログでも指摘してきたように海外向けの輸出が増加し、また輸入が国内の景気悪化と生産調整によって減少したことから、4-6月期は昨年1-3月期以来のプラス成長となったわけだ。一方、国内需要が経済成長を支えたわけではなく、残念ながら、いまだに足を引っ張っている。この10年間、日本経済は海外依存度を高めている。もちろん国内需要の量は非常に大きいのだが、それだけでは成長できなくなった。海外需要が増加すれば成長し、減少すればマイナス成長となってしまう。サブプライムローン問題以降も、この状態から脱却できていない。日本経済を論じるには、最初に海外需要を分析しなければならないという、情けないことになっている。
4-6月期の国内需要では、家計消費(個人の消費)が増加している。エコポイントの効果だろう。また、公的固定資本形成(公共事業等)も増加している。わが大学にも「ゼニを使えるのなら予算を付ける」とのお触れが次々に来ているが、GDPはそんな大盤振る舞いを反映している。とはいえ、エコポイントも公的固定資本形成も予算を組む必要が当然あり、限度がすぐそこに見えている。国内需要が日本経済を牽引するには程遠いと言わざるをえない。
もう一点、4-6月期の名目GDP成長率は前期比-0.2%とマイナス成長だった。企業業績は実質ではなく名目GDP成長率の方から多くの影響を受ける。この意味で、4-6月期のGDPはますます寂しい。

2009/08/20


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