川北英隆のブログ

為替投機の勧め?

現在、長期投資の観点から金融市場を観察することが多い。そこで気になるのが日経新聞の日曜日に掲載されている「円ドル為替相場」を当てるコーナーである。何の意味があるのかと、機会がある度に日経の記者に言っているが、現在も続いている。
多分、読者に人気があるのだろう。ゼミや講義を聴講している学生からも毎年、決まり切ったように、「FX取引はやらないんですか」と質問される。FX取引をうまくやれば、簡単に大金持ちになれると考えているのだろう。また、FX取引で大金持ちになったような雑誌や新聞記事も多い。「円ドル為替相場」のコーナーも、その乗りの延長線上にあるのは確かである。
しかし、短期的に為替相場で儲けることは、誰にも難しい。相場には常に言えることだが、9勝1敗でも大損することがある。勝つにつれて投資金額を増やしていけば、なおさらである。ましてや、これまでのFX取引は何十倍(やってないのでよく分からないが、それ以上の倍率)ものレバレッジを掛けられる。一回勝てば大もうけである。でも、最初に儲けたとして、そこであっさりとFX取引から身を引けるだろうか。新聞は、その事実を個人投資家に教えるべきである。
最初の話題に戻ると、円ドル為替相場が当たったとして、何の意味があるのだろうか。名前が掲載されることに意味があるのかもしれないが、それは経済や投資の世界とは別物である。意味があるとすれば、このコーナーから天才相場師が出現することだろうが、いまだにそんな話を聞いたことがない。

2009/08/12


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