奈良盆地生まれの者にとって、鹿は非常に身近である。しかし、奈良県人は、鹿は野原にいるものとイメージしているから、山で出会えば感動する。
感動すると表現したが、かつては感動したと言い換えておきたい。鹿以上に感動したのがカモシカである。しかし、鹿はもちろん、カモシカも現在では珍しくなくなっている。
山でよく出会う動物(ほ乳類)の筆頭は鹿、次はリスだろう。では、その次はと言われると困る。地域や時間帯によって異なるだろう。一方、身近な動物で出会わないのは意外とタヌキである。山歩きの人間とその山の住人のタヌキとでは、行動の時間帯が異なるのだろう。イノシシやクマに出会ったことも多くはない。
鹿が多くなったのでヒルも多くなった。鹿に植物も食べられる。鹿を食べる動物がいなくなったからである。鹿を食べるのは人間くらいだろう。
猟師が仕留めた鹿肉をバーベキューにして北海道の山で食べさせてもらったことがある。野生だからだろうか、今でもその味が忘れられない。そういえば、屋久島で死んで数日しか経過していない鹿を見たこともあった。北海道でのバーベキューの後だったなら、見捨てなかった?かもしれない。
アメリカでは増えすぎた鹿の数をコントロールするため、オオカミを人工的に放したという。何事もバランスである。実のところ、猟師が鉄砲を撃つのは好きではない。近くで銃声が響いたので岩陰に隠れた経験もある。スマートに鹿の数をコントロールできないのだろうか。
2009/08/12