法人企業統計が公表され、4-6月の企業業績が明らかになった。それによると、業況はゆるやかに回復したようだが、まだ予断を許さない。
以前から筆者が注目しているのは売上高に対する付加価値率である。ここでの付加価値とは、営業利益、人件費、減価償却費の合計である。
製造業・大企業(資本金10億円以上)を四半期ベースでみるかぎり、売上高に対する付加価値率は1-3月期がボトムであり、それに比べて4-6月期には上昇している。付加価値の絶対額での上昇幅は3割強にとどまり、これまでの低下の幅を考えると大したことはない。一方で、人件費の抑制効果と、設備投資を抑制したことから減価償却費も抑制され、売上高に対する営業利益率がボトムアップした。とはいえ、絶対額での営業利益では依然として赤字である。
季節性がある(4-6月期は1-3月期に比べて売上高が減少する)ものの、売上高の回復がはかばかしくない。これが気にかかる。鉱工業生産が示すように、数量では回復しているが、金額ベースでは物価が下落気味であることから、企業収益の回復に結びつきにくいのかもしれない。コスト抑制効果が一巡したことを考えると、本格的な企業業績の回復には売上高の回復が望まれるだろう。
2009/09/04