朝、2時に起きる。暑くならないうち、雲の上がらないうちに登頂し、さらに頂上で日の出を迎えるためである。その日のうちに下山するためにも早起きが必要となる。
満天の星の下での起床は、睡眠不足ながら、まあまあ気持ちがいい。2700メートル地点ではあるが、やはり熱帯、しかも尾根には風があまりなく、寒くはなかった。上はシャツの上にレインコート、下は薄手のズボンだった。
軽く食事をした後、ヘッドランプを頼りに登山開始。他の登山者も一斉にスタートする。最初は尾根から火口壁に取り付く。疎林から草原になり、火口壁には草が点在する程度である。300メートル近い高度差の壁で、しかも火山性の砂利で覆われているため、滑って歩きにくい。火口壁の縁に着くと、暗闇の中に赤い円形と直線が浮かび上がる。火口丘の口が円形、そこから流れた溶岩が直線である。火口から反対方向に目を転じると、島の村の灯りが見える。もっと暗いはずだという先入観がうち破られる。
そこからは時計回りに火口の縁を歩くだけである。とはいえ、登りが続き、風が強くなる。しかも最後の高度差400メートル程度は非常に急な登りであり、握り拳くらいの丸い火山岩が混じっている。暗いこともありその火山岩に足を乗せてしまってバランスを崩し、強風に吹かれてバランスを崩し、細かな砂で足を滑らせ、悪戦苦闘の本気での登りが続く。
夜が明け始める頃に頂上の手前まで登り、ようやく傾斜が緩む。岩の下を少し巻くように最後の一登りで狭い頂上に着く。キャンプ場から3時間、火口壁の縁に登りついてから2時間である。なお、高度障害はなかった。同行者(気象の専門家?)の説では、同じ高度でも赤道近くの方が高緯度地域よりも気圧が高いので楽だとか。
頂上は風が強く、飛ばされれば火口に落ちてしまいかねない。しかも寒い。その中、頂上で日の出を迎えることができた。火口丘の赤い口が日の出とともに黒くなり、リンジャニの円錐形の陰と、遠くバリ島の主峰アグン山の円錐形とが重なる光景を見ることができたのは満足だった。
下りは滑り落ちるようで楽である。キャンプ場に戻って朝食、テントを撤収して途中で昼食、登りと同じ道をゆっくり下って17時前に登山口に着いた。前日と同様、途中から霧が出てきて、登山口の村に着くと雨になった。
2009/09/23