9月に調査された日銀短観が公表された。大企業の景況感は改善しているものの、経済が最悪期を脱した安心感だけが景況感の改善に寄与している可能性が大きい。
今回の短観での最大の懸念は、6月調査と比較して、企業業績が下方修正されたことである。この点について、あるレポートに寄稿した原稿の一部分を引用しておきたい。
「全産業(金融機関は調査の対象外)に関して、2009年度(の短観での売上・収益計画)を示しておくと、売上高は前年度比-11.2%(6月調査比-0.6%の下方修正)、経常利益は-22.0%(-2.8%の下方修正)である。製造業・加工業種の経常利益だけは上方修正されているが、下期の円/ドル為替レートの想定が94.08円であるため、実現性が低いかもしれない。上期と下期の内訳では、経常利益での上期の修正は小さく、下方修正は主に下期である。」
「短観の売上・収益計画は、業況判断DIの回復に反して明るくなかった。企業をとり巻く環境が最悪期を脱したものの、内外の需要の水準は前年と比べて20%前後低い水準にとどまっている。しかも、今後、何が需要回復を主導するのか不明なままである。」
「日本企業の業績には円高がのしかかってきた。円/ドル為替レートでの急速な円高は9月調査の短観にとって想定外である。さらには、国内の需要が弱いことも加わり、製商品価格が下落傾向にあり、売上高の減少要因となる。以上から判断すると、下期の企業業績の回復に大きな期待はできない。」
以上の企業業績は、株価に対するヒントを与えてくれる。日経平均で1万円を超える株価水準は、企業業績の回復に大きく期待したものである。今回の短観は、その期待が過大であることを示唆している。そうだとすれば、今後の株価の足取りは重くならざるをえない。
2009/10/01