昔からインデックス運用(市場を完全に模倣する投資)は好きでない。株式に関して、とくにそうである。インデックス運用を好ましく思わないのは、従来は「芸がない」との理由が主だったが、最近では「日本の経済に合致しない」と考えている。
日本経済全体として、高い経済成長を望むことはほとんど不可能である。いくら努力しても、移民政策を採用しないかぎり、人口と労働力の減少を補うのは無理である。日本の技術力が優れていると考えるのは自己ひいきである。日本の技術は部分の技術、すなわち部品の技術であり、肝心の企画力が弱い。日本に多くある資本は、収益率の高い投資を目指して世界を行き来するから、いわば後出しである。
とすれば、日本全体のGDP成長に期待できないから、国内産業を多く含む日本の株式市場に高い投資収益率を望むのも無理である。言い換えれば、世界市場で活躍できる日本企業を見つけ出し、投資すべきであり、それ以外の企業を無視してもいい。それが相場の醍醐味であるし、現在の日本経済の段階からすれば、このような投資にこそ大きな期待が持てる。
製造業のみならず、非製造業も海外での事業展開を積極化しつつある。いよいよ企業の日本離れが本格化しようとしている。円高になれば、国内で生産し、海外に輸出する採算が悪化する。ますます企業の日本離れを加速させよう。
では、これまでの多くのアセットマネジメント会社の銘柄選択と、それに基づく投資収益率がインデックス運用を上回れなかったのは何故なのか。多分、銘柄選択の視点が悪かったのだと思う。もしくは、インデックスとの対比を気にしすぎたのだろう。日経平均や東証株価指数がどうなったのか、そんなものをしばらく見なくても投資は可能である。このくらいの自身を持って選択した銘柄に投資してほしいものだ。
2009/10/04