大学の後期の授業が始まっている。この時期、毎年憂鬱なのは学生の就職活動である。何とかならないものか。とくに企業の対応が大問題である。
就職活動のために授業に出られないとか言って、酷い場合には連続して休む学生がいる。学生が通告するのはたいていの場合、ゼミである。普通の講義はどうなっているのだろう。主義として、授業に出なくても試験やレポートがちゃんとしていれば不合格にしないから、大人数の講義では出欠を把握していない。ときどき判明するのは、試験(期末だけではなく、複数回、実施することが多い)のとき、学生が「会社から呼ばれているので」と理由を付けて追試を申し出る場合である。
今時の就職活動は3回生の後半、早い場合は夏休みに入る直前から始まる。修士の場合は入学して半年も経過しないときからである。そんなことで会社側として学生の能力を判定できるのだろうか。また、意欲のある学生から実力を伸ばす機会を完全に奪っているのではないだろうか。
それでいて、入社してから、「大学ではきちんとした教育をしていないから、学生の能力が不足している」と非難されたりする。経済の学生と経済を教える教員の実力があなどられているのかもしれない。まあ、わが大学時代を振り返ると「そうかなあ」と思ったりするが。しかし、経済の学生の大多数は勉強をしたくないわけだから、早く就職が決まればますます勉強しなくなる。そうだとすれば、少しでも勉強する期間を延ばすことが効果をもたらすはずだ。
なにはともあれ、3年間(修士の場合は1年間)、静かに勉強させられないものか。企業も、経済関係の団体も、役所も、学生の実力を延ばすための努力をすべきだろう。そのためにカルテルを結べばいい。独禁法の適用除外が今でも多く残っているのが日本の社会だから、就職に関してカルテルを大々的に行うことに何の問題もなかろう。
2009/10/05