北風の吹いた今日にふさわしくない話題、コチの記録である。コチ、正しくは「東風」という猫を思い出した。近くのメシ屋の黒猫だった。
今日、その名が久しぶりに登場した。家内が「コチ」と言ったのを、忘れていたせいもあって「ボチ」と聞き間違え、「コチ」に訂正された。コチとは、「錦通り柳馬場上る」にあるメシ屋「柳馬場亭」で飼われていた猫である。今まで知らなかったが、今日聞いたところでは、北野天満宮に捨てられていたのを、客が柳馬場亭まで連れてきて、それで飼われて「東風」という名になったとか。その由緒正しい名前の由来は大分昔のことだろう。コチを知った当時にはかなりの年齢だった。
昨年だったと記憶しているが、そのコチがいなくなり、柳馬場亭に「お世話になりました」というような意味の張り紙を見つけた。店を閉じたのかと思ったが、コチの挨拶状だった。その前から「コチを見かけないねえ」と噂していた。
柳馬場亭には長らく行っていない。昼飯の魚が美味い。残念ながら男の雰囲気のするメシ屋だが。漫画本があり、そこで「動物のお医者さん」を見つけた。かつて楽しみに見ていたテレビ番組の原作である。チョビと名付けられたハスキー犬が主人公的な存在で、その隈取りが可愛らしかった。確か三毛猫も登場した。
春になれば、白梅の香りとともに、コチが東の空に姿を見せるのだろうか。
2009/10/09