某有名私立大学のアホなOBが「見せ玉」による株価操縦の容疑で捕まった。見せ玉とは、たくさんの売買注文があるように見せかけるため、売買する意図のない注文を出す方法である。魚釣りの餌みたいな、コマセみたいなものだ。
見せ玉の手法が一般投資家によって悪用された背景には、売買注文の情報(板情報)が証券会社以外の一般の投資家に対しても提供されるようになったからだろう。具体的にどのようにするのか知らないので、推測であるが。
板情報によると、上場されている銘柄において、何円の所に何株の売買注文があると瞬時にわかる。このため、見せ玉を企む投資家と、見せ玉に釣られる投資家が出現する。売買の注文状況とそれまでの値動きから、売るべきか買うべきかを瞬時に判断して売買注文をぶつけていく、超短期の売買を生業とする投資家が増えたことも、このような事件の背景にある。
今はなき証券取引審議会で「板情報が証券会社にだけ公開されるのは、他の投資家との差別であり、不公平だ」と発言したことがある。その後、板情報が一般の投資家にも公表されるようになったが、この制度改正によって超短期の売買と相場操縦が増えているとすれば、残念なことである。すべての市場関係者に一切板情報を公開しない方がいいのかもしれない。
それはともあれ、見せ玉によって儲けようというのはアホなことだ。現在は売買手口の監視が強化されている。大儲けすれば捕まるのが必定だ。
また、見せ玉に引っかかる投資家もアホだ。不正な行為を交えないかぎり、超短期売買で財を築くことはほとんど不可能に近い。時には昨年のような相場の急落に出会うし、時には今回のような「いかさま」に引っかかる。
さらにいえば、株価操縦のような不正な行為で儲けて楽しいのだろうか。また、どこまで儲ければ気が済むのだろうか。不可解である。
2009/10/20