川北英隆のブログ

混迷?する郵政

民主党の政策とは何なのか、ぼちぼち分かってきたようだ。そのなか、郵政の政策に対しては、総選挙の前からの方針が貫かれている。この意味で西川氏の退陣は既定の事実である。
西川氏が社長ポストから退き、元大蔵省事務次官の斎藤氏が新たな社長として就任することになったことに驚きはない。もちろん、天下り人事に逐一反対し、官僚の影響力の排除を目指すという鳩山政権の方針と、斎藤氏の社長就任との関係をしっかり説明すべきだとは思う。この点、役人であれ民間人であれ、尊敬すべき者がいる一方で駄目な者もいる、そんな説明で十分なのではないか。出身がどこだから尊敬できる、もしくは駄目だと決めつけることが馬鹿げているし、男女差別に酷似している。
とはいえ老人になれば、一つの価値観がしみ込んでおり、それに固守する傾向があるし、利害関係が強くなりすぎて中立的な政策を打ち出し、実行できなくなる。この点に注意する必要があろう。
西川氏とは5年ちょっと前、経団連の席で数回会ったことがある。もちろん当時から有名人だったので、その発言に個人として期待していたが、現実は異なっていた。眼光は鋭かったが、それは行内での競争に打ち勝つための眼光でしかない、大局を射抜くものではないと感じた。念のために言えば、大局とは政治的な流れではなく、国が向かうべき方向である。経団連ともなれば、国のことを考えるべきであり、それが大義である。その大義に鋭い眼光が向いていなかったとの印象である。その後、西川氏は郵政の社長になったわけだが、何のために社長になったのか理解できなかったし、今でも理解できない。民間銀行のトップとして官営金融機関に反対してきた立場はどうなったのだと思った。官営金融機関を単純に民営に変えるだけでは何の意味もないはずだ。
斎藤氏が社長として就任する郵政がどの方向を向くのか、大変興味がある。現在の日本の金融では世界的な競争に生き残れないし、そもそも国内での数が多すぎる。しかも、国民の資金を有効に使えていない。郵政も同じである。官営に戻るにしろ、今までと少し方向を違えて民営化を進めるにしろ、イノベーションが求められる。この問題は政治的な剛腕だけでは解決できない。しばらく新たな経営を見守りたいものだ。

2009/10/22


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