川北英隆のブログ

日本へのリスクプレミアム2

先日、ある原稿を書きながら、日本の現状について、債券市場はもちろんのこと、株式市場もリスクの高い状態にあると思った。その原稿の結論部分だけを、少しアレンジして掲載しておく。
以下、原稿の引用である。
日本の証券市場を投資対象として考えれば、どのように結論づけられるのか。
まず、国内の金利水準は、ファンダメンタルズから評価するかぎり、上昇のしようがない。国内での資金需要が乏しいうえに、物価の上昇もほとんど生じないと考えられるからだ。この10年間と同様、2%を超えることは難しいだろう。超えるとすれば、政府財政の危機的状態を国内投資家が強く意識する場合である。
次に株式投資に関して、投資対象企業の選別がこれまで以上に重要となる。企業としての成長要因を国内や輸出に見出すことが難しいとするのなら、海外に事業展開するしかない。この10年近い経験から、多くの企業はこの事実に気づき、海外展開を図ろうとしている。しかし、海外展開が成功し、日本企業からグローバル企業に変身するには、製品やサービスの高い魅力度と、経営力が求められる。投資対象の候補としてピックアップした企業がこの条件を満たしているのかどうか、十分評価しなければならない。
いずれにせよ、現状の日本経済と証券市場は変化の途上にあり、その変化の方向性を見定めることが難しい段階にある。見方を変えると、将来の日本がどこに着地するのか不確かな状態にあり、リスクが大きいと判断できる。株式の場合、日本企業に魅力がないわけではないが、リスクの大きい分だけ、平均的な企業に対して投資家は大きなリスクプレミアムを要求するだろう。当分、その分だけ株価の頭が抑えられる。

2009/11/06


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