今回も遅ればせながら鉱工業指数(9月)を観察してみた。その結果、企業が生産増に慎重ではないかと推察できる。それとも、9月という期末要因が影響しているのか。
9月の生産は85.1、前月比1.4%上昇、出荷は87.1、同3.4%上昇である。今年2月を底にした回復が続いている。その水準は、ピークだった2008/2と比べ、生産は77.3%、出荷は78.2%である。生産がピーク比8割を下回っていることは、設備の稼働率もその程度だということを意味している。
今月に関してすぐに気づくのは、出荷に比べて生産の上昇率が小さいことである。その結果、在庫が0.5%低下した。6月以降、在庫水準はほぼ横ばいで推移していたが、9月になってもう一度低下したことになる。企業が先行きに対して慎重になり、出荷に見合った生産の増加を図らなかったのかもしれない。もっとも、期末月の生産や出荷にはいろいろな要素が影響するから、今月の数字だけで判断するのは早計だろうが。
明るい材料として、資本財の生産、出荷がようやく底入れしたことである。生産、出荷とも、8月、9月と顕著に増加している。もっとも、他の財と比べて水準は依然低い。資本財の底入れは、国内向けの動きが出始めたというよりも、海外向けだろう。今後、資本財がどの程度の速度で回復するかも、景気動向を見定めるうえで重要である。
2009/11/02