しばらく読んでいなかった新聞を眺めていたら、7日土曜日の日経「プラスワン」の子供向け(そう装った)為替の解説記事にひっかかった。要するに「子供だまし」の解説だ。
ひっかかったのは、見出しに「ドルの値段って・・・その時々の人気によって動く」とあったからだ。「そらそういうこともあるけど、では人気が落ちたらドルが今すぐにでも1円になるんかいな」と問わないといけない。
しかも最後にFX(外国為替証拠金取引)の話しさえ登場する。人気の波をうまくつかんでFXに賭けて大儲けしようとの構図のような、業者に媚びを売っているような。
経済の教科書的に言うと、為替は長期的には需給ではなく、物の値段で動く。日本のバナナ一本が100円(ちょっと高いが)、アメリカのバナナ1本が1ドルだとすると、為替レートは1ドル=100円で決まるというのが標準的な説明である。もしも1ドル=1円なら、アメリカからバナナを仕入れて日本で売れば、1本1ドル=1円で仕入れたものが100円で売れるから、1本につき99円の利益になる。輸出や輸入を駆使しても1円もサヤが抜けない為替レートが1ドル=100円である。
もちろん、世の中にはバナナだけではなく、いろいろな商品がある。輸出入できないものも多い。サービスが典型的である。だから話しはバナナのように単純ではないのだが、とはいえ「ドルの値段は人気次第」と解説するのは大問題だろう。バナナの解説を書いた後に、「でも人気によって日々動く」というのなら、「まあそんなものやろ」と納得するのだが。
まず若い記者に投資教育をしなければならない。すでに日経新聞に非難が殺到していると思うが(何もなければ日本自身が変だ)。
2009/11/11