11/16の7-9月期GDP統計の公表以降から、注目すべき対象を変えた。円高が急速に進んだこともあり、量ではなく金額に重点を置くべきだと考えるようになった。
これまで、生産や販売の量が増えると、それに伴って企業の業績も向上するのが当たり前だと考えていた。しかし、ここまで急速に円高が進むと、量に金額が伴わないことも十分にありうるというか、むしろその方が自然だろう。現在、稼働率が低水準にあるため、それをいかに上昇させるのか、企業は必死である。固定費を考えると、多少の単価の下落を伴ったとしても、量を稼いだ方が得策かもしれない。このため、収益の向上を犠牲にしても、生産量の増大を図ることも大いにありうる。最悪の場合、当面の売上高とキャッシュフローを得るために自転車操業をすることも考えられるだろう(もちろん、最悪の可能性でしかないが)。
昨日に書いたように、輸出量は回復を続けている。しかし、それが量の回復だけに留まるのであれば、収益の回復は遅々たるものだろう。これから先、株式市場の先行きを占う上で、量は当然として、価格面にも注視することが必要となる。ただし、金額に関する統計は多くない。明日、公表される鉱工業指数も量の統計である。当面、日銀短観、法人企業統計、貿易統計によって金額の推移を観察していきたい。
2009/11/29