ようやく分析する時間が作れたので、11/27に「注目していた法人企業統計」を分析してみた。設備投資に関しては新聞に報じられていたので、企業収益に関する分析である。
まず、11/27のブログで舌足らずだったことがある。「4-6月期もこの付加価値額と売上高との比率(付加価値率)が低下を続けている」と書いたのは4四半期を平均した場合のことである。4四半期を平均しているのは、季節性を排除する目的と、傾向を見たいがためである。
さて、この4四半期の平均値に、今回公表された7-9月期を加えてみたところ、やはり低下が続いていた。製造業・売上高に対する付加価値(営業利益、人件費、減価償却費)率は15.5%と、統計開始以来の最低水準を更新していたのである。
この内訳を見ると、人件費率と減価償却率が上昇している。付加価値率が低下した分以上に、営業利益にしわ寄せが来ている。その営業利益率は-1.3%である。
では、4四半期を平均せず、7-9月期だけを見ればどうなのか。3四半期にわたって赤字だった営業利益がわずかに黒字に転じたため、当然、売上高営業利益率はプラスに転じている。しかし、その率は1.3%にとどまっている。
気になるのは、7-9月期単独の付加価値率が17.0パーセントと、4-6月期の17.2%よりも低下していることである。利益圧迫要因だった人件費率と減価償却率を抑制することで、7-9月期はかろうじて営業利益段階で黒字に転じたものの、企業業績を取り巻く環境の厳しさに大きな変化はなかったと言える。人件費を抑制した分が今後の消費停滞の原因となり、ボディーブローのように効いてくるのも心配だ。
2009/12/06