グッドバンカーで議論していたら、ユニクロがデフレの元凶だとの主張があるという。「そんなアホな」というので、京都に帰ってから調べた。いや、人生いろいろ、いろんな論法があるものだ。
現物を手にしていないので、検索結果だけである。それによると、文藝春秋1月号に「昭和の肉声/ユニクロ型デフレで日本は沈む」とあり、「激安合戦が自分のクビを締める、浜矩子×荻原博子、私たちの生活はかつて経験したことのない不況に突入した」との見出しまで読めた。これで十分、買おうとは思わない。
確かに、ユニクロの価格は正真正銘安い。かつての大手スーパーで買った安売り商品は、まさに安かろう悪かろうだった。メリヤスの下着の寸法は最初から中途半端で、洗濯すると横に伸びるのか縦に伸びるのか、それとも縮むのか、自由自在で予測不能だった。それに比べるとユニクロは縮まない。寸法が決まっていて、私の場合はLサイズの袖の長さが微妙に合わない(シャツの方が少し長い)ので縮むことを願っているのだが、そんなにうまくいかない。
われわれは高度成長の時代から、現在に至るまで、製品価格が安くなることで恩恵を受けている。テレビはどうだろうか。パソコンはどうだろうか。パソコンの場合、マイクロソフトやインテルの(買い替えを強要する)陰謀があるとはいえ、確実に、かつてより安い価格でより高性能な製品を手にしている。そもそも、紙が安く手に入るようになったから、新聞や週刊誌が大手を振っているのだから。鉄も然りである。
製品の価格が安くなることがいけないのであれば、現在の文明のすべてを否定しなければならない。どうも、表面的な現象だけをとらえ、批判して、世間の関心を買おうという風潮があるようだ。みんなで言ってみよう、お茶が熱くて日の中をやけどするのは、そんな熱い湯を沸かせるようにした電力会社やガス会社が悪いのだと。
2010/01/24