川北英隆のブログ

アジアの回復が支える輸出

昨日(1/27)、2008年12月の貿易統計(速報値)が公表された。簡単に分析してみたところ、アジア向けの回復が順調である。これに対し、アメリカとEU向けは力強さに欠ける。
これまで貿易統計に関して何回か述べてきたように、この時期、通常の分析方法を用いるは適切でない。つまり、2008年10月から09年年初にかけて輸出が急減しているから、前年同月比や季節調整済みの前月比を使って「上がった、下がった」と言ってみたところで仕方ない。
そこで、昨年12月の数値を2年前と比べてみた。2007年から08年末まで、輸出の増加はそんなに大きくなかったので、2年前と比べると、輸出の状況についてのおおよその目安になると考えたわけである。
その計算結果は、輸出数量全体では、2008年10月-18.9%、11月-23.8%、12月-19.6%である。これからすると、11月はあまり良くなかったものの、12月に持ち直している。地域別では、アメリカとEUは2年前と比べて30%以上落ち込んだままである。一方、アジアは-7.9%と、ほぼ2年前の水準に近付いている(中国向けの数量指数はまだ公表されていない)。アジアの回復が突出しているわけだ。一方、アメリカとEUのもたつきは、それぞれの経済実態が良くないからだろう。
ちなみに、輸出金額全体では、10月-29.3%、11月-31.3%、12月-27.2%である。輸出数量に比べて水準は低いものの、11月との対比で12月が良くなっている。これは輸出数量の場合と同じである。地域別では、アメリカとEUは2年前と比べて40%程度落ち込んでいる。アジアは-16.7%である。地域別に見ても、アジアの回復が順調なようだ。

2010/01/28


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