JALも昔は日の丸を背負って飛ぶ国営企業というか、企業の体をなさない組織だった。当然、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も日の丸を掲げて資産運用している。日の丸が日の丸に投資していいのだろうか。
公的年金がJALよりもリスキーなのは、法律を変えれば、年金のカットが自由自在な点である。
「政府がこける」方法はいくつかある。1つは、将来の年金支払いをはじめとする債務をカットすることである(正確には年金は単なる約束でしかなく、民主国家において政府は国民自身であるから、国民が自分自身で将来の年金を諦めるだけだが)。税負担や保険料負担が重くなることを選ぶのか、年金カットを選ぶのか、この択一問題である。
「政府がこける」もう1つの方法というか道筋は、本当の意味でダメ国家になってしまうことである。国内での1万円は1万円としての値打ちがあるものの、アメリカでの1万円は1セントの値打ち未満になっているかもしれない。レソトのサニ峠のロッジで1億ジンバブエ・ドル札が1米ドル札と並んで梁に張られているのを見たが、そんな状態である(調べると100兆ジンバブエ・ドル札まであるらしい)。JALの年金がJALの株式や債券で資産運用していることと似ている。
卵を1つの器に盛るなとの格言がある。公的年金を国債で運用するのは「日本国に対する集中投資」でもある。また、政府の債務がとめどもなく膨張するのを公的年金が支えることでもあり、財政改革のモラトリアムを暗黙のうちに認めることでもある。
2010/03/13