川北英隆のブログ

公的年金のJAL化4

適当に書いていたら、もう1つの論点を書き忘れた。国債で運用するのなら、別に年金保険料を徴収し、積み立てて運用する必要がないのではと思ってしまうことである。
将来の年金の支払いが政府の信用に依存してしまうのであれば、あらかじめ年金のための資金を確保しておく理由がない。政府としては、その時の年金のための財源を確認しながら、年金支払いを実行するだけで十分である。
積み立てておく意味があるとするのなら、1つは、「国民はゼニに余裕があれば使ってしまう」から、それを政府が預かって、国民の代わりに将来の年金に備えることである。しかし、この役割と年金とは無関係だろうし、将来に備えるのなら、積み立てた資産の運用は国債に限定されない。もっと自由に運用していいはずだ。
もう1つは、富の再配分である。税金と同じ役割である。この場合も、資金を積み立てて運用する必要はない。直接的に税金を徴収し、再配分することでも十分対応できる。
最後に、公的年金の場合、税の特典があることだ。しかし、この税の特典が、年金の支給時点を含めて、維持されるのかどうか。つまり、国民の生涯を通じて税的なメリットがあるのかどうかが問われなければならない。年金の支払い時点になって政府がこければ、税的メリットは絵に描いた餅であり、何の意味もない。

2010/03/13


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