川北英隆のブログ

九州新幹線の必要性

今週の初め、知人に新年度の講義の依頼をしがてら福岡を訪問した。桜が満開近かったので、ついでに佐賀まで足を延ばしたら、新幹線の工事らしきものが始まっている。それを見て、本当に新幹線が必要なのか、知人と議論した。
九州の新幹線の工事といっても、県庁所在地の佐賀を走るのは長崎に行く路線である。現在、長崎までの在来線(長崎本線)は佐賀の先から単線になっている。正確には肥前山口から長崎本線と佐世保本線に分かれ、それぞれが単線である。そこに新幹線が走るというわけだ。「いきなり新幹線かい、小学生からゼットかい(Z会)」ということになる。
新幹線のメリットを最大に受けるのは長崎だろう。佐賀市は今でも博多へ40分程度だったか、福岡まで完全な通勤圏である。肥前山口は何もない駅だし、長崎までの途中駅の候補である武雄、嬉野も温泉があるだけの町である。大村は新駅になるらしい。諫早も大した市ではない。
新幹線が通ったために、在来線が廃止になったり、列車の本数が削減されたりすれば、かえって沿線の町の過疎化がますます進むだろう。長野新幹線の横川と軽井沢の間が典型的だ。知人との議論もこの点でほぼ一致したと思う。
そういえば、諫早湾の干拓事業を巡る紛争は県の間の意見の相違にもなっている。諫早をかかえる長崎県は賛成、佐賀県は反対の立場のようだ。新幹線もどうもそのようである。
長崎に大枚をはたいて新幹線を通すことが必要なのか。最初に少し書いたように、どうしても交通の便を高めたいと言うのであれば、複線化だけで十分ではないのか。そのように思った。

2010/04/01


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