3月調査の日銀短観が公表された。企業収益の先行きはまずは明るく、設備投資も底入れしつつある。一方、気になったのは大企業と中小企業との格差である。
短観は日銀のホームページからダウンロード可能なので、一度見ておいてもらいたいが、今回の特徴は一般的に言って3つある。
1つは、大企業の業況感が4四半期連続して回復していることである。先行きも回復を見込んでいる。着実に大企業に活気が戻っていることになる。
2つ目は、大企業に活気が戻ってきたことにより、2010年度の設備投資計画が09年度と同じラインからスタートしたことである。09年度の設備投資計画が下方修正続きだったことと比べると、設備投資意欲が戻りつつある。
もう1つは、大企業の利益が2ケタの回復を続けることである。もっとも、利益水準は依然として低い。
以上から、新年度のスタートは幸先が良かったことになる。これを受け、今日の株価は戻り高値を更新した。
もっとも、水を差すようだが、日本経済の回復は海外頼みでしかない。このため、海外需要から直接の恩恵を受けられる大企業には明るさが戻ってきているが、そうではない中堅企業、中小企業は依然として暗い。このことは今回の短観でも如実である。業況感は大企業よりも相当程度悪いし、先行きも「悪化する」と回答している。
実のところ、2002年からの景気回復・拡大期にも、大企業と中堅・中小企業との間にかなりの格差があった。この背景は、やはり日本経済が海外頼みだったからである。選挙を横目で睨みながら、政府は中小企業対策に積極的であり、時には脅しも使っている。しかし、日本経済の現状が海外頼みであるかぎり、その対策の効果は薄いと言わざるをえない。
2010/04/01