川北英隆のブログ

東証データ戦略のお笑い

本日(4/15)の日経夕刊(電子版 私の利用術)に東証の斉藤社長が登場し、日経電子版のデータに対する期待を述べていた。お笑いやないのに、なかなか笑えるコラムである。
というのも、東証が日経に対してデータへの期待を述べてどうするんやと思ったからだ。データの充実を最初に図らなければならないのは東証であるのに、それを日経に期待するのは本末転倒もいいとこだ。
斉藤さんとは多少の面識があるものの、大した面識でもない。また、東証の委員会に参加したことはあるが、合意がある程度できていた提言の一部分を、私が欠席した時に削除されてしまったから、その「恨み」もある。後者はほとんど嘘だが(へえー、でも裏から読むと、少しは本当ということやねえ)。ということで、自由に何でも書ける。
実は、日本取締役協会の「ディスクロージャー委員会」で今後のディスクロージャーのあり方に関して提言を行った。その提言の中に、東証のデータ提供が貧弱であり、もっと充実させる必要があると述べている。データの提供が不備なことに、日本で個人投資家が育たない一因があると本気で思っている。アメリカのナスダックと比較すればいい。私自身、個人投資家になって得た実感だ。関心があれば、次のURLにアクセスし、そのページのNewsにある3/29の「成果発表」をクリックしてほしい。
http://www.jacd.jp/report/report.html
東証は大量のデータを保有しているのだが、その多くを有料でしか提供していない。だから、少し真面目に株式市場を分析しようとしても不可能である。株式会社だから営利が目的ということだろうが、データくらい気前良く提供したらどうだろうか。それがきっかけとなって投資家が育ち、売買量が増えれば、東証も儲かるし、公的役割も十分に果たせる。それが本当の経営というものだ。
多分、斉藤さんは東証の内部にいるので、自らのデータ提供が不備だとは露ぞ知らないのだろう。

2010/04/15


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