来年3月に卒業する学生の就職活動がピークを越えた。企業側も学生側も問題点の多い昨今の就職活動である。
よく知らなかったのが、本当の内定を出せるのが卒業半年前の10月1日だそうだ。そのさらに半年前に内々定を出すのが多くの大企業の慣行となっている。私自身の経験からすると、就職が決まってしまえば大学生としての勉強への意欲が大きく削がれてしまう。卒業だけを目的に、適当に(留学生が読んでいると困るので、日本語の解説をしておくと、「適当に」の意味は「要領よくサボりながら」)単位を取得するだけで終わる。
しかも、最近は卒業の1年半前、つまり大学生の場合は3回生の夏休み頃から、修士の場合は入学したその年の夏から就職活動に突入してしまう。言いたいことは、大学生は4年間のうちの1.5年を勉強に力が入らず適当に過ごし、修士は2年間のうちの1.5年を適当に過ごすわけだ。
これでは日本の学力は向上しないだろう。そんな学生を採用する企業も結局は災難である。さらに言うと、そんな事情を本当は知りながら何の手も打たない大学も役所も企業も変である。こちらもやる気がないとしか思えない。
ところで、最も出足の早いのは外資系金融機関らしいが、その外資系金融機関はドライにクビを切る。就職してから必死で大学時代の穴を埋めるか、学生時代のわずかな年数で大卒もしくは修士卒に求められるレベルをクリアできる人材だけが外資系で生き延びるわけだ。こう考えると、普通の学生が、やる気があるか出来る学生の真似をして浮足立つのは愚かである。外資系金融機関は学歴重視で、働かない者は不要の風土である。キャリアを積んで、実力を誇示できる状態になって外資に行って決して遅くない。単純に給与がいいらしいとの噂に踊らされてはいけないわけだ。
2010/04/16