川北英隆のブログ

日本の産業構造と就職1

教育とその後の就業を考えるとき、日本の産業構造を想定しておくことが重要である。この点について、寝床に入ってから少しばかり考えてみた。きっかけは2009年の自動車生産の統計にある。
最初に、日本の主要産業である自動車の様子を見ておこう。
自動車工業会が公表している国内と海外での自動車生産台数、輸出台数の統計によると、2009年の国内生産台数(国内メーカー、4輪車)は793万台(前年1158万台)、輸出362万台(前年673万台)、海外生産1012万台(1165万台)だった。2009年の輸出が前年の673万台から大きく落ち込んでいることに注意しておこう。
この統計から、次のことがわかる。
海外での生産台数が国内を上回っていること(これは2007年から続いている)。
「輸出と海外生産を海外需要とし、それが全生産台数に占める割合を海外依存度とする」と、この海外依存度が76%になっていること(ただし輸出台数が急減しているので2008年の海外依存度79%からは低下している)。
日本の自動車に対する海外需要を海外生産で賄っている割合(海外自給率)は74%となり、初めて70%台に乗ったこと。
つまり、日本の自動車業界にとって、3/4が海外の客であり、その3/4を海外生産で賄っているわけだ。もはや国内産業とは呼べない。海外でのマーケティングと海外での生産が業界もしくは個々のメーカーの命運を左右する。当然、それらのメーカーで働く本部での従業員も、海外を十分に睨まなければならない。働き方も急速に変化しているはずだ。

2010/05/04


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