4月末に貿易指数、鉱工業指数が公表された。悪くはなかったが、喜ぶほどのものでもなかった。むしろ、経済がリーマンショック前の水準に回復するまでの道程の遠さが感じられた。
要約すれば、依然としてエンジンがフルに回転していない。バランスが悪いと表現した方がいいだろう。というのも、以前から指摘しているように、国内と海外の差がありすぎる。また、海外においてもアジアと欧米の差が大きい。この状態に大きな変化が見られないままである。
貿易はアジアがほぼピーク水準にまで戻っている。もっとも、これは輸出数量での話であって、金額ではもう少しのところである。これに対し、欧米はもたついている。強いて言えば、アメリカが徐々に回復しているように見える。一方、ヨーロッパは一進一退と見た方がよさそうだ。新聞を賑わしているように、ギリシャを初めとする南欧の問題がヨーロッパ経済に重くのしかかっていると考えていいのかもしれない。
鉱工業指数の回復に勢いがなくなりつつある。生産、出荷ともにまだピーク時の9割に達していない。それにもかかわらず、3月の生産(季節調整済)が前月比0.3%増、出荷が同1.6%増にとどまったのは気になる。資本財、消費財などの財別にみても、動きがバラバラになりつつある。明るい材料もあり、資本財が本格的に回復を示してきている。とはいえ、他の財の回復と歩調が合わないのは、やはり経済の回復に力が不足しているからだろう。
完全回復まで、あとどのくらいの時間が必要なのか、まだ読み切れない状態である。
2010/05/01