川北英隆のブログ

末村篤さんのコラム

どうも日本経済新聞の記事をけなしてばかりである。「そうや」と思った記事に言及しないせいもある。そこで末村さんの今日(5/30)のコラム「誰がこの国を支えるのか」に言及しておきたい。
末村さんとはずいぶん昔から、多分20年くらい前から顔見知りである。今でも時々お目にかかる。だからコラムを「そうや」と言及するわけではない。性格が温和な私としては「違うやん」と思った知り合いの文章なら、「違う」とは言わずに黙殺するだろうし、怠け者でもある私としては、どうでもいい文章なら何もしないだろう。大機小機のようなペンネームのコラムの場合は知らず知らずのうちに知り合いをけなしているかもしれないが。
それはともかく、末村さんは株式持ち合いの批判を続けている(この株式持ち合いを通じて末村さんを知った)。今回のコラムでも、株式持ち合いや終身雇用を含む日本的経営が日本社会を支えてきたが、この社会制度が限界に達したことと、日本企業がまともに国際競争にさらされるようになったと指摘している。この事実から、今後は個人が社会の担い手として表に立ち、税を負担しなければならないとする。
そのとおりである。企業は一企業として生きなければならない。その企業に社会的インフラまで依存し、またその見返りとして企業を政策的に甘やかしたのでは、日本全体が沈んでいく。JALに象徴される国策会社の競争力を見れば、日本的経営を「先端的に」実践してきた企業の代表が落ちこぼれているのは明らかである。JAL以外の社名をあえて出さないが。
最後に、末村さんのコラムは、納税者番号制度の導入、消費税率の段階的引き上げ、所得税の累進課税制の強化を提案している。
この税制の改革も当然の提案だろうが、不思議にも今まで手付かずだった。なかでも、納税者番号制度というか課税の公平性を確保する手段が重要である。この点を避けてしまえば、誰も税制の抜本的改革に賛成しないだろう。

2010/05/30


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