先月末に公表された4月の鉱工業生産活動を分析した。それによると、生産活動の牽引力が資本財つまり設備投資に関連した生産に移ってきている。
鉱工業活動に関する指数は、生の数値(原数値)と季節調整を行った数値とが公表されている。この季節調整済み指数にもリーマン・ショック後の生産急減の影響があるので、やはり2年前の原数値との対比を併せながら判断しなければならない。
生産活動を分析した結果は次のとおりである。昨年の夏頃まで、リーマン・ショックの反動から急速に回復したものの、その後はゆっくりとした回復に転じているようだ。この生産活動の動向は、昨年7-9月期に景気回復が一服した(実質で前期比0.1%成長、名目で-0.2%成長だった)ことを示しているGDP統計とも一致している。
4月の生産活動は3月と比べて横ばい圏かややプラスといった程度だろう。耐久消費財や非耐久消費財の生産があまり良くない。また、これまで輸出向けで伸びてきた生産財もゆっくりとした増加テンポになってきている。一方、ここにきて資本財が他の財よりも元気である。アジアを中心に活発な設備投資が行われていることの反映だろう。
この状態がいつまで続くのか。設備投資は、消費をはじめとする最終需要の動向を反映する。欧州での財政危機問題の影響が深刻さを増さなければいいのだがと思う。
2010/06/06