ロンドンでプライベートエクィティの仕事をしている日本人が京大にやってきて、学生向けに講演をしてくれた。講演後の彼の感想はといえば、男性に元気がないということだった。
日本にいても同じことを思うのだから、海外から来ると余計にそう思うのだろう。ある程度(というのも、講義やゼミの一環として講演を聞くようにと言われた場合があるだろうが)、自主的に講演を聞きに来ているのだから、嫌々ではないはずである。それなのに、講演者に元気がないと思われてしまうのはどうしたことか。
日本の男性はルールを守るのだろう。それも忠実に。もちろん、これは平均的な意味でのことで、完全に無視する者もいる。
講演者から、他の国ではルールの境界線までは自由に行動するとの感想もあった。それに対して日本は、ルールのはるか内側を守るのだと。
かつて囲碁の番組を見ていると、有名な棋士が解説者で、その彼が言うには、「赤信号でも周りを見て安全なら渡ってもいい。青信号でも注意をして渡らないといけない」と。日本では、赤信号は絶対に守るが、青信号なら何も考えないで渡るのだろう。
大阪はルール無視の社会だと、関東に住んでいるとき、いつも酒の肴になった。でも最近の京都では、狭い道でも赤信号なら渡らない歩行者が多い。さらに観光客を観察していると、京都の中心部の信号のない狭い交差点で戸惑っている、だから渡るのに躊躇しっぱなしの歩行者が多い。
そもそも、関西に元気がなくなったということか。関西に元気がなくなれば、日本全体に元気がないのは当然かも知れない。異端が出てきてほしいものだ。
2010/06/08