検索機能に関してちょこっと書いた「猫とネコ」、「蜘蛛とクモ」で思い出したのが浪人中の1年間のことである。昭和44年度、1969年度のことだ。
当時、面倒なので予備校には行かなかった。奈良の実家からだと、同級生は、普通は京都まで通っていたようだ。そこでサボったせいと、大学紛争の余波で授業がろくすっぽなかったせいで、大学に入ってすぐには友達ができなかったが。
その年の夏休みまで(って言うのかどうか、世間の学校の夏休みまで)、実家が経営していて、かなり以前に取り壊してあった工場一角の建物の跡地を整備したり(要するに体を動かすために土方仕事をしたり)、時間があるからというのでそれまで読めていなかった長編の本(たとえばアラビアンナイト)を読んだりして昼間を過ごしていた。
それだけでは完全に遊んでしまうので、「小学生から○○○かい(会)」の通信教育だけをやっていた。最初は英語、国語、数学、生物(だったかな)を受けていたように思う。そのうち、生物はすぐに飽きてしまった。そんなとき、生き物の名前を書く設問があったので、遊びで「トラ」を「虎」なんていう風に書いて送った。そうしたところ、まあ当然だろうが、「生物の試験の場合、動物の名前はカタカナで書く」なんて赤字のコメントが付いて帰ってきた。部分点をくれたのかどうかは記憶にない。「寅」と書いたわけではないのにと思ったかどうかも記憶にないが、多分そこまで知恵は回らなかったかな。
ここまで書いていて思い出したのは、土方に行くために自転車に乗っていると(当時、実家と工場とは少し離れていた)、北東側から雷が迫ってきたことだ。雷鳴とともに空が暗くなり、生臭い風が通り過ぎていった。雷によって発生したオゾンの臭いだったようである。寅の方向から迫ったトラが狩りをした臭いではない。
2010/06/12