6月の京都は大した行事がなく、また梅雨なので空いている季節である。料理屋さんもそう言っていた。もっとも、食材のほうはいろいろと豊富で、楽しい。
賀茂茄子が出回っている。大きく固いので田楽が美味い。普通の茄子だと柔らかくなりすぎる。もっとも、田楽以外はあまり美味いとは思えない。
破竹もたくさん出回っている。小さくて柔らかい分だけ普通の筍より美味いかもしれない。これは京都だけでなく、奈良でも食べる。というか、毎年、実家から送ってくる。ぼちぼち終わりかな。
後は鮎だろう。どこでも食べられそうだが、放流物(の大部分?)は琵琶湖の鮎であるから、やはり関西名物である。鮎といえば数年前に食べた由良川の天然の鮎が美味かった。例の「田舎芸者と駆け落ちしたのかもしれない料理人のいた店」での話なので、今では幻である。
その代わり、今年は岩牡蠣を買って食べた。伊勢志摩産で想像していたほど高くないから養殖だろうか。錦の西側の入口にある貝屋さんで買える。店頭でも食べさせているが、買って帰って(って家内がだが)、家でビールと一緒に食べるのが最高である。料理屋で食べるのと比べると少し小ぶりだったが、東京農大の小泉さんの気分に浸れる。
有名なところでは鱧である。どの店に食べに行っても鱧が登場する。京都は湯引きにして梅酢で食べるのが一般的だ。鱧は京都だけかといえば、そうではない。関西ではよく食べる。小さい頃、奈良の実家でも付け焼きでよく食べた。強い魚なので、夏に内陸に運んでも大丈夫だったのだろう。といいつつも、実家ではその鱧で食中毒を起こしたこともあった。このため、最近まで鱧は大衆魚だと思っていた。料理に手間がかかるので、今や高級魚となっただけかもしれない。関西の夏の食材の王者で大衆性のあるのは、やはり鱧だと思う。これを食べないと夏が来ない。
2010/06/21