川北英隆のブログ

さらばペリカン

あまり好きでなかったペリカン便が今日で最後だという。明日からは「ゆうパック」に吸収されるとのこと。元をただせば国策会社どうしの統合は経営者にとって必然なのだろう。
何回か書いたように、ペリカンとネコを比べた場合、差は歴然である。とくに指定した時間に対する正確さは便利さの象徴だ。もちろんサービスの表面的な内容は同じになってきているが、実質的な対応が異なる。多少料金が高くても、ちゃんとした対応をしてほしい場合はネコを選んでしまう。一方、ゆうパックもペリカンと似たようなものとの印象が強い。
もっとも、ネコをほめすぎても良くないので、少しだけ負の部分を指摘しておくと、先日、大学の1階のエレベータをネコの姉ちゃんが待っていた。どこに行くのかと思ったところ、2階である。「階段を走れや」と思う。大学生もそうなのだが、3階程度なら階段の方がいいに決まっている。エレベータなんか使うなと言いたい。とくに大学のエレベータは台数が限られていて、システムもおかしい(合理的に反応しない)ので、エレベータは決して時間の短縮にならない。
それはともかく、ペリカンの飼い主だった日通は国策会社である。1937年、戦時体制の強化で生まれ、国鉄と相思相愛の関係にあった。父親が日通から荷物を受け取る時にはいつも、「親方日の丸やから」とつぶやいていた。日通が株式会社だった時にである。
その日通のペリカンが郵政と一緒になるのは必然というべきか、安易すぎるというべきか。もう少し「良さ」を持った相手を探すべきだったと思うが、そうはいっても飛脚かネコしかいない業界である。相手が不作だったのだろう。そんな似た者どうしが一緒になっても潜在的な欠陥が早急に解消されるとは思えない。
そのペリカンは33年間も生きたそうだ。1977年が出発点かと思う。圧倒的な力を持って出発した(ネコの後を追いかけた)。でも、ネコを追い抜くどころか、圧倒的に負けてしまった。その原因を考えなければいけない。
競争を好むのが、企業が成長するための条件である。規制を期待し、行政を師と仰ぎ、顧客を僕として心の中で見下してはいけない。顧客の利便性の向上を図り、その対価として利益を獲得するというか「利益をいただく」必要がある。ペリカンを飲み込んだ「ゆうパック」に、その気概があるのだろうか。

2010/06/30


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