本日、公表された6月調査の日銀短観についてコメントしておく。一言で表現すれば、数字は良かったが、他力本願、「明日もそこに仏がおわすかどうか」というところか。
まず、一番注目される大企業・製造業の業況判断(「良い」?「悪い」)はプラス1となった。ほんのわずかではあるが業況が「良い」と感じている企業が多くなったということだ。市場が事前に予測していたのはマイナス4程度だったから、相場にとってプラスのサプライズが起きてもいいはずだった。
実際は、今日の株価が上昇するわけでもなし、無視に近かったのではないだろうか。無視したのは、短観をよく読むと当然の反応というか、整合性のある反応だった。
というのも、製造業の業況判断の回復は海外に引っ張られたものだったからである。その証拠は、このブログでも指摘している貿易統計に如実である。今回の短観でも、機械関係の業況の回復が著しいことや、企業が海外での需給の引き締まりを指摘している一方で国内は依然として供給過多だと感じているなど、複数の証拠がある。
その海外の株価は下落が続いている。短観発表の前日もアメリカの株価が下落した。景気回復そのものについて、欧州はもちろん、アメリカ、中国にも懸念が生じている。そんな状況において、すでに過去となってしまった、つまり6月の企業の業況判断が良かったからといって、それに素直に反応することは正しくない。
いずれにしても、他力本願であることを知りながら、その情けない状況から脱却できない日本経済、それって何やと思ってしまう。
2010/07/01