参議院選挙で民主党が大敗し、政治がますます混迷してきた。記憶力の衰えた頭では、もはや誰が総理だったのかも思い出せないし、思い出す気にもならない。思い出すのは、世界史の教科書にあった「パンと見世物」を求めたローマ市民のことである。
世界経済は大きな転換期に差しかかっている。欧米と日本が3極を形成していた時代が終わり、アジアや南米の台頭が著しい。これらの勢力が混乱なく今後の世界経済の一大勢力になるとは断言できないが、ならなかったとしたら、それはそれで大きな混乱が生じるだろう。
一方で、欧米は経済成長と金利の低下にあえいでいる。財政の赤字も累積している。日本もその例外ではなく、むしろこの面での最先端を走っている。
日本の政権をどの党が掌握するのかどうかはともかく、必要なのは世界経済の流れを正確に測り、日本経済の舵をとりつつ、一方で危機的な財政に終止符を打つための抜本的対応である。しかし、自民党にはその意思と能力が乏しく、守旧的だった。ではということで、民主党に変えてみたが、現実に行われたのは「パンと見世物」の政治に近かった。土壇場になって「財政再建と消費税の引き上げ」を打ち出したが、準備不足というか、口から出任せの雰囲気が漂っていた。
この国はどこに行くのだろうかと思う。昔の偉人にならって30代の後半までしか生きないと思っていた者にとって、どうでもいいことだが、楽しく歩かせてくれた1500近い日本の山々の行く末が心配である。それとも、世紀の見世物「日本の財政大崩壊」に立ち会える可能性が高まってきたことに胸踊らせるのか。少なくとも、その立会いに向けた準備は入念にしておく必要がありそうだ。
2010/07/12