川北英隆のブログ

財政大崩壊への準備とは

パンと見世物の政策はローマ市民をバカに(関西で言うバカに)育てあげた。その現代版である日本はといえば、財政崩壊の瀬戸際に追いつめられている。では、財政崩壊のイベントを心置きなく観戦するにはどうすればいいのか。
財政が崩壊すれば国債の価格が大幅に下落する。その結果、銀行、年金ファンドが大きく痛む。銀行によっては経営破綻する可能性もあるから(政府財政に余裕がないため、痛んだ銀行を助けられず、銀行の破綻が本当に生じるかもしれないから)、1000万円以上の預金は要注意である。とりあえず、多くの銀行に分散して預金しておくことがいい。
もちろん、固定利付の国債の保有は解消しておいたほうがいい。どうせ一般の個人は大した額面の国債を保有しているわけではないので、保有している国債を売却し、その金利を放棄したところで高が知れている。たとえば、100万円の国債で1%の金利を稼いだところで、年間1万円にすぎない。禁煙すれば、禁酒すれば、化粧品の購入を止めれば、たちまち取り戻せる、
次に気にすべきなのは為替レートである。日本国の通貨である円は大幅に売られるだろう。円資産を少なくしておくことが賢明である。日本で働いているかぎり、年金をもらっているかぎり、円という現金は嫌でも入ってくるから、当座の円の保有をゼロ近くにしておいたところで問題は少ない。本当に気にすべきなのは、円の価値が下がれば(すなわち円安になれば)、日本国内で所得の大部分を稼いでいる日本人が貧しくなることである。優雅な生活を送るには、外貨をたんまり保有しておくことにかぎる。もっとも、どの外貨の価値が円に比べて大きく高まるのか、誰も確たることが言えない。このように考えると、保有する通貨を適当に分散させることが正しいだろう。
株式は、それが国内株式であれば、やはり避けたほうがいいと思うが、国際的に活躍している企業であれば、最悪のところでも大きな損失を被らないだろう。ひょっとすれば、外国通貨と同様に値上がりするかもしれない。他方、国内でのみ活躍している企業は、日本財政の崩壊によって大打撃を受ける。こう考えると、国内株式は企業の特性を十分に勘案し、選別して保有すべきだということになる。
「金」はどうだろうか。ボートピープルとして日本を大脱出すべき事態まで予想するのならともかく、当面はそこまではいかないだろうから、是非保有すべき資産だとはいわない。でも、少しは持っておくのが、いろいろなリスクを想定した場合に賢明かもしれない。

2010/07/13


トップへ戻る