川北英隆のブログ

多分これが最後

「最後」の意味はいろいろある。1つは、今月末に海外に行ってしまうので、8月最後のブログになるかもという意味。もう1つは、この円高が日本の最後のチャンスかもしれないという意味。
もうすぐ出かけるとなると、いつものことだが、子供の夏休みの宿題のように、どどっと仕事を片付けないといけない。何て、ブログを書くのは矛盾しているような、そんな暇に仕事をせえやってとこだが。8月中にブログをもう一回書けたとすると、予想外に早く仕事が片付いた証拠だ。
そんな仕事で気づいたのが(正確には認識を新たにしたのが)、一昨年9月のリーマンショック以降、欧米に比べて日本の株価の戻りがきわめて鈍いことである。今年になってから、新聞では、日本の株価の回復が欧米以上だったと書かれていたこともあった。その「株高祈願」の煙幕記事の記憶に惑わされていたのだろう。講演用のグラフを書いて、やっぱり全然ダメやんという次第である。
この数日、相次いで、「日本に対して悲観的」、「日本経済に対して山登りのような情熱がない」とのコメントをいただいた。いつもの言い訳だが、「愛国者であるがゆえの悲観論者」であり、「客観的に評価している」つもりである。また、「日本経済はしばらくダメか、凋落するかもしれない」と思っているが、「そんな日本経済と日本企業は別物だ」とも主張している。
むしろ、日本が復活するには、どこかで凋落する、つまり追い詰められることが必要かもしれない。すばらしく恵まれた国であるから、どこか国民は呑気で、「今日は雨だが、明日はいい日和になるかもね」とすぐに思ってしまうのだろう。砂漠の民にとって、いい日和とは雨だろうが。
それはともあれ、この円高は、要するに円という通貨と日本経済に対して超過分の評価を得ているわけだから、その評価を逆手に取れれば、凋落を経ずに日本を復活させられる。そんな最後のチャンスかもしれない。残念ながら、身内の選挙に熱が入ってしまっている政治に、最後のチャンスを活かす術はなさそうだが。

2010/08/26


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