本日、財務省の指示に従い、日銀が為替市場において円売りを行った。当然だろうと思う。「びっくりした」という市場関係者のコメントがニュースで流されたが、てんぷくトリオではあるまいし、アホなやっちゃ。
もちろん為替相場に介入したところで、実体経済に大きな変化があるわけではない。それ故に「介入に意味がない」ということになる。しかし、どの市場にしろ、価格形成がバブル的であるとすれば、その熱を冷ます効果は否定できない。
つまり、市場介入に何の意味もないとする立場が正しいのは、市場での価格形成が完全な場合である。完全であれば、中央銀行の介入は単純な雑音でしかなく、早晩無に帰す。しかし、流行りの行動経済学的な視点から価格形成が完全でなければ、というか価格形成が主観に流されているのであれば、市場介入は市場参加者の主観と、ある意味での(政府的立場での)主観とのぶつかり合いである。この観点からすれば、介入には意味がある。
本日の為替市場介入が効果を発揮するのかどうかは予断を許さない。とはいえ、「介入なんてありえない」と高をくくっていた市場関係者がいたのなら、少なくともその目を覚ます意味があっただろう。また、現在の円の水準は「ほめ殺し」と思っている者の立場からすると、「やったね」ということになる。
2010/09/15