今の日本の社会は、当たり前のことの価値を認めず、ほったらかしすぎる。ほったらかされても、当たり前のことを行う者はいるのだが、それでは社会的な意味がない。例として、田舎や山間地での生活を考えてみたい。
山間地に住むのは大変である。山間地向けに食品や日用雑貨の行商をしている親戚がいる。結構な収入になるらしい。しかし、行商される側からすると、選択肢が限定されているだろうから、都会での生活のような物質的なバリエーションは楽しめない。ましてや、そんな行商さえもほとんど訪れない地域がある。
一方、田舎や山間地に住むことは、社会に対して利益をもたらしうる。自然環境保護というか、日本の自然の豊かさを生かすことへの期待が最大のものだろう。辺境に誰も住まなくなると、それまでの田畑が荒れてしまう。ひょっとすれば、ゴミの不法投棄が頻発しかねない。森林の問題はより一層深刻である。植林してスギやヒノキを育てろとは言わない。広葉樹林であっても、適当に林に入り、枝を払い、枯れた枝や木を処分することが重要である。
かつてからの主張の一つが、そんな田舎や山間地での生活に政府が補助すべきというものである。「田舎や山間地での生活」の定義はじっくり考えないといけないが。高速道路の無料化より、はるかにいい政策だと思う(土木工事には結びつかないかな)。
政府の補助の意味は、税的な優遇と補助金である。一例として、田舎や山間地に商店や金融機関が出店すれば、補助金を与えるのである。この補助金の対象は、たとえば農協や郵便局に限定されない。また、住民に対して謝礼を払ってもいい。
補助してもらっても住みたくないと思う者(意外ではないだろうが、私たち夫婦?)もいれば、補助金がなくても率先して田舎や山間地での生活を選択する者がいる(前に私が勤めていた会社の同僚にも実行したのがいる)。補助がなければ、不便な田舎や山間地での生活者の比率は確実に低下するだろう。
以上、日本の自然の豊かさを生かす観点から書いたが、これ以外に、文化的意味や、子供の総合的な教育面でも田舎や山間地にはメリットがある。是非、一考を。
2010/09/23