武富士が近々、会社更生法を適用するという。その記事を読んでいて疑問に思ったのが、過払い金の返済負担が会計上の負債として計上されてこなかったことである。その負債が重荷となったため、破綻に至ったわけだが。
日経新聞によると、その過払いの負債総額は、すべての顧客が返済を求めたとして、2.5兆円になるという。帳簿上の負債金額は0.4兆円程度にすぎない。有価証券報告書を見ていないので確たることは言えないが、顧客の過払いによって生じた潜在的負債が会計上認識されておらず、それが原因で武富士が経営破綻に至った(正確には、経営再建のために戦略的な会社更生法の申請に至った)とすれば、会計制度の問題点が大きいといえるだろう。そこまで、企業経営に関する恣意性を認めていいのだろうか。
会計制度とすれば、いろんな資産や負債を公正価値で評価する以前に、負債として顕在化する可能性の高い(一部分は顕在化しつつあった)負債を十分に認識し、請求の可能性を踏まえ(つまり、過払いに関する負債の一定割合を)、負債としてオンバランス化することが正当な手続きだと思えるが。少なくとも、一般の投資家に潜在的な負債の金額と、そのインパクトを情報として提供できていなかったことは、会計制度として、今後の反省点となる。
2010/09/27