川北英隆のブログ

就職冬の時代の元凶

新聞情報によると大学生の内定率が最悪になっているという。その原因をリーマンショック以降の不況のせいにしているが、本当なのか。
疑問に思わないといけないのは、人口が減少し、労働力が不足するという議論と、内定率の悪化という事実とがマッチしないことである。人口の老齢化と減少で労働力が不足するのなら、大卒新人、高卒新人を採用したいという要求が殺到するはずだと思える。しかし、現実は違う。まだ半分近くの学生が就職先を見つけられないでいるわけだから、「どうなってるんや」ということだ。
要するに、大学は出たけれど、何もできないという学生が多すぎるのではないか。企業としても、従来のように採用してからじっくりと育てようなんて余裕もない。何かできないと、採用しようなんて気が起きない。もっと言うと、就職を大学の延長だと思っている学生がかなりの割合にのぼるのではと思えてしまう。親がかりの就職活動を見ると、実に情けない。就職した後も親が職場見学に来て、その時に息子/娘(女性のほうはあまり問題ない)が上司に怒鳴られていると、「パワハラだ、わが家のボクちゃんをどうしてくれる」と言いかねない。それで、今の企業は事なかれ主義だから、「ごもっとも、善処します」なんて陳謝しかねない。最悪だ。
教育体系はこの40年間(私が大学に入って以来の年数だが)大きく変化していない。一方、社会や企業経営とそれを取り巻く環境が大きく変化している。教育も変化すべきなのだろう。どのような教育が社会から求められているのか。何でもいいから大学を卒業させればいいということなのか。この点を改めて考え、行動しないと、新卒学生の就職に関するミスマッチが続いてしまう。

2010/11/17


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