今日、11月通関統計の速報値が公表された。日経新聞の見出しには輸出額伸び率拡大」とあったが、そのニュアンス少し実際とは違うようだ。
同じ記事の最後に、民間エコノミストの見解として「輸出は横ばい圏の推移で・・・」とあるのが、現時点では客観的な評価だろう。
輸出数量の3ヶ月移動平均をとると、11月の数字は先月の下落を取り戻したにすぎない。アメリカやEUの増加がかなり大きく、これが11月の輸出を牽引している。新聞の見出しに「対アジア好調」とあったが、実際のところアジアは10月に低下したままであり、ほぼ同じ水準に留まっている。輸出数量の3ヶ月移動平均も輸出数量の傾向とほぼ同じである。
むしろ11月の通関統計で気になるのは、輸出よりも輸入の増加である。輸入金額の対前年同月比の増加率は輸出を上回り、その結果、通関統計ベースの貿易収支が大幅に縮小した。11月は輸出入とも他の月と比べて比較的低調なので、この輸出と輸入の関係が傾向を表しているとは思わない。とはいえ、12月の貿易収支に注目さぜるを得ない。
2010/12/22