川北英隆のブログ

生産活動はまだら模様

少し時間を作り、先月末に公表された鉱工業生産活動の分析をしてみた。新聞で報道されていたように、10月の生産も大きく落ち込んだが、救いは資本財(設備投資関連財)が上昇傾向に留まったことである。
鉱工業生産指数は今年5月に戻りのピークをつけた後、5ヵ月連続して低下している。10月の生産水準は5月に比べて5%強低い。
何が低下してきたのかをみると、生産財が低下を続けている。さもありなんというのも、生産財は日本の生産全体の50%強を占めている。この生産動向が全体を大きく左右するわけだ。よく考えてみると、トヨタを代表として自動車の元気が今一だから、京セラ、オムロン、村田、日本電産などの京都企業を主力とする(というのも大げさだが)部品や関連財メーカーが日本を引っ張っている。
それはさておき、5月以降、生産財に元気がない。これは気になるが、一方で資本財(ただし自動車などの輸送用機械を除く)の生産が10月に上昇した。9月にかなり大きな低下を記録していたから心配だったが、とりあえずは一時的だったようだ。輸送用機械を除く資本財は、昨年夏以降の上昇基調を保っていると判斷できる。
10月に自動車に対するエコポイントが終了したので、生産の落ち込みは予想されていた。その落ち込みが事前の予想(-3.3%程度)よりも低くてすんだのも、資本財すなわち設備投資関連の財が堅調だったことによる。アジアの需要増を見越した設備投資意欲が強いからだと推測できる。
「生産活動はまだら模様」というよりも、国内はまだら模様が続いている。他方、全体としての生産活動の基調が上昇傾向にあることに大きな変化はないとみられる。

2010/12/03


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